遺言書について

●遺言書とは?

遺言書とは、死後の財産の処分方法などを明記した、法的な書類のことをいいます。

遺言書の目的は、被相続人(※亡くなった人)の最後の意思を遺産処分に反映させることとなっています。

遺言書に何を書けるのかは法律で決まっており、財産に関する事項、身分関係に関する事項、遺言執行に関する事項があります。

 

●遺言書の効力

遺言書には何を書いても原則問題はありませんが、法定遺言事項以外の遺言内容には法的効力がありません。法定遺言事項以外の遺言は、遺言作成者の意思表示的な意味合いを持つだけのものということになります。

法定遺言事項以外の遺言事項は付言事項と呼ばれていて、例えば、「兄弟仲良く暮らしてください」等の内容があります。

法定されている遺言事項のうち主なものは、財産の承継方法・処分方法、相続人の廃除と取消し、婚外子の認知、祭祀の承継者指定などです。

 

●遺言書の種類

★自筆証書遺言

本人が、自分の手で書いた遺言のことです。本文の全文・日付・氏名を自筆で書いた書面に捺印したもので、必ず自分で書くことが遺言としての条件になります。
用紙については指定はありませんが、パソコンで作成した物や代筆は認められません。(※ただし財産目録についてはパソコンでの作成や通帳のコピー等の使用が可能)
 
自筆証書遺言のメリット
・費用が掛からない ・遺言内容が秘密にできる・遺言したこと自体を秘密にできる
 
自筆証書遺言のデメリット
・紛失してしまう可能性がある
・書き方が正しくないと無効になる可能性がある・家庭裁判所の検認が必要 がある

★公正証書遺言

本人が公証役場に出向き、証人2人以上の立会いのもとで、遺言の内容を話し、公証人が筆記します。(※推定相続人は証人になれない)
そして公証人は、記録した文章を本人と証人に読み聞かせたり、閲覧させたりして筆記の正確さを確認し、それぞれの署名・捺印を求めます。
これに、公正証書遺言の形式に従って作成した旨を公証人が記載し、最後に公証人が封紙に日付と共に記録し、本人と証人と共に署名捺印して作成します。
 
公正証書遺言のメリット
・公証人のチェックがあるため正確性の高い遺言書の作成ができる・家庭裁判所の検認が不要・公証役場に原本が保管されるため紛失の心配がない
 
公正証書遺言のデメリット
・費用が掛かる・証人をたてる必要がある

★秘密証書遺言

あまり活用されていませんが秘密証書遺言というものもあります。
公正証書遺言と同じように公証役場で作成するのですが、遺言書の内容を密封して、公証人も内容を確認できないところが、秘密証書遺言の特徴です。
 
秘密証書遺言のメリット
・遺言内容の秘密を確保できる
・遺言したことが証拠に残る
 
秘密証書遺言のデメリット
・費用が掛かる
・書き方が正しくないと無効になる可能性がある・家庭裁判所の検認が必要 ・遺言したこと自体が公証人と2人の証人にわかってしまう。

 

以上、今回は遺言書についてでした。
次回は遺留分についてお話させていただきます。