節税し続けると会社は倒産する
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▼ 税額を減らすのか金を残すのか
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節税に興味のない経営者はいない。様々な経営者の方とお話をさせていただく中で税理士に期待している事について話を聞くと多くの方が節税というワードを挙げる。
税理士に期待する事ランキング1位と言ってもいいだろう。ですが、この節税についての正しい理解は驚くほど得られていないというのが現状であることに警笛をならしたい。
経営泳者の皆様には是非自分自身に問いかけて欲しい、「目的をもって節税を行っているか?」という事を。ただ税額を減らすという事だけに捉われていませんか?
ではここで再度考えてみて欲しい。皆様が節税をする目的は何ですか?
恐らく多くの方がこういう考えなのではないだろうか。「金を残す為」つまり会社に残る金を増やす為、最大化する為に節税を行っているという事。
確かに一見税金という(ムダな)支出が減れば会社に残る金は増えるように感じる。だが果たして本当にそうだろうか。
ではここで法人税の計算方法を考えてみよう。実際の計算方法は複雑だが単純化すると報じ税は下記の計算式で計算されることになる。
利益(課税所得)×税率
基本的にはこの2つの要素しか出てこない。つまり税金の額を減らす為にはこのいずれかの数字を減らす必要があるという事だ。では、この2つの要素のうち税率を減らす事は出来るのか?答えはノーだ。税率は法律で定められているもので自由に変更する事は出来ない。
つまり税額を減らそうと思ったら利益を減らすしかないという事だ。節税とは言い換えると利益の食いつぶしである。利益を減らすという行為は会社にとってプラスになる行為だろうか?多くの経営者は頑張って従業員全員で稼ぎだした利益を税金対策という名目でせっせと食いつぶしているのだ。
これは単純な算数の問題である。仮に法人税等の税率が30%と仮定すると1,000万円利益が出れば300万円の税金が発生し、税金を払うと会社に700万円残る事になる。この300万円の税額が勿体ない。と言って高級車を買ってみたり保険に入ってみたり様々な方法を駆使して節税という名の利益の食いつぶしをすることになる。
結果1,000万円の経費を作って利益をゼロに出来れば晴れて税金はゼロとなるわけだが果たして会社に残る金はいくらだろうか?利益がゼロ税額もゼロという事は・・・会社に残る金もゼロだ。多くの会社は毎年毎年こんな事を繰り返しているのでいつまで経っても金がある状態は作れない。
つまり利益を積み上げ適切な納税を行わない限り会社に金を残す事は出来ないし資金繰りが楽になることは絶対にない。この事に気付いている一握りの経営者だけが本当に金に余裕がある状態を作ることも出来るし、その金を使って会社を成長させ続ける事が出来る。決して裏技は存在しない。
このように説明されるとほとんどの方はなるほど、と、この理屈については理解していただけるが実際に決算前に顧問税理士から「社長!ヤバいです!今年は利益が2,000万円も出ちゃいそうです、このままだと税金600万円もかかってしまいます。どうしましょう。こんな節税手法があります!」と言われると社長も「ヤバイ!」となって無駄な節税を行ってしまうわけです。それほど節税という言葉には魔力があります。
気持ちは理解できます。どうせ節税しても政治家が無駄遣いしたり私腹を肥やしたりロクな事に使われない。だったら納税なんてしたくない。と思ってしまうのは当然のことです。ですが、そのはらわた煮えくりかえる感情を押し殺して、自らの為に、自らの会社や従業員の幸せのために適切に納税を行い資金繰りで困ることが無い、盤石な財政基盤を構築していきましょう。
会社や従業員、そしてその家族を守り続けていくためには経営者が数字に強くなる、という事は必要不可欠です。私がお会いした大成功している経営者は全員例外なく数字に強いです。逆に言えば数字に強くなければ会社をいい状態にすること、従業員を守り続ける事は出来ません。
経営に関する数字というと一見難しそうに感じますが実はそうではありません。経営者が本当に意識しなければならない数字は3つ程度、それを知るだけで経営は驚くほどよくなります。専門用語などは難しそうに感じるかもしれませんが、皆様の業界でも色々な専門用語があると思いますがそれらは私にとっては非常に難しいと感じるものですが皆様にとっては日常会話ですよね。
慣れてしまえば会計は難しいものではなく楽しいとすら感じるものです。是非数字に強い本物の経営者になり従業員や家族を幸せにし、夢・目標を実現していきましょう!
次回は多くの方が誤解している売上について触れていきます。売上は多くの経営者にとって非常に大きな意味を持つ数字であると思いますが、先程お話しした本当に意識しなければならない3つの数字に売上は含まれていません。売上ばかり追い求めると確実に会社はおかしくなっていきます。果たしてその理由とは!